太陽光発電 価格を振り返って思うこと
旧ソ連が冷戦維持のために自国領土内にまき散らした核汚染や毒物汚染と、ソ連解体後の経済破綻や統治能力の崩壊によって、自然破壊が同時進行しているからである。
1995年9月4日号の『タイ皇は「シベリアのレイプ」という特集記事を組象、北極霞(北極圏にたなびく黒い霞の最大の原因であるノリスク精練所の大気汚染、シベリアの森林の大規模伐採、石油採掘事故によるツンドラの汚染、トラの密猟などと並んで、トムスク7などの核施設や、北極海への核物質の大量投棄による核汚染を取り上げた。
結局、冷戦とは、平時にもGDP(国内総生産の5〜10%を国防費、なかでも核兵器の研究・維持・展開に注がなくてはいけない過酷な状態であった。
現在、科学技術論では、この冷戦体制そのものといってよい人類史上最大の科学技術システムを、「核兵器複合体」と呼ぶ。
そして国家安全保障のためという大義の下、核兵器の研究・生産・実験に高い優先権が与えられてきたため、人体や環境への影響は二の次であった。
これは、冷戦体制維持のための環境コストが膨大に上ることを意味する。
アメリカの核兵器複合体を所轄するエネルギー省は、1989年に環境管理局を置き、この問題に着手してきている。
しかし、アメリカはロシアの核問題に対して、核物質・核研究者・核兵器解体後のプルトニウムの管理については早くから援助し介入してきたが、核汚染については手つかずの状態にある。
ソ連時代には核兵器の軍事特権性は特に高く、全土が疑似臨戦体制に近い状態にあったから、核汚染は他の比ではない。
しかもアメリカは、軍事と商業原発とは一線を画し、スリーマイル原発事故以降、原発はエネルギーの柱ではなくなっている。
しかし旧ソ連圏では、原発も核兵器も同じ核専門家が扱い、「核兵器・核エネルギー複合体」を形成してきた。
それがチェルノブイリ原発事故の遠因でもあり、同じ型の原発は東欧でまだ15基も稼働しているのである。
このような欧州の体験を東アジアに当てはめてふると、わが国がこの地域の環境問題に寄与していこうとするときの困難と、これを克服する道筋が見えてくる。
1992年の地球サミットに当時のGATT(貿易と関税に関する一般協室が提出したレポートにあるものである。
原太線だけなのだが、これによると一人当たりのGDP(国内総生産が高くなるほど大気汚染は抑えられるようにふえる。
当時のGATTとしては「だから世界はさらに経済成長を推し進めたほうがよい」と主張したかったようである。
つまり、それぞれの経済の発展段階にある社会はこれに見合った価値体系を展開させているのであり、そのなかで環境保全に対する投資の優先順位は著しく異なっていることである。
それは先進国型の社会に近づけば近づくほどその順位は高くなることを示している。
アジア環境構想にむけてこのような関与を行っていくためには、政策志向的な地域研究が不可欠になる。
東アジアの地域の国々の政治経済体制は非常に多様である。
環境問題への対応の違いもそれだけ大きいはずであり、これを埋め合わせるだけの研究体制が不可欠となる。
国のタイプを列挙してみると、準先進地域の韓国・台湾・香港、巨大途上国で社会主義国の中国、市場経済移行中の先進国ロシア、同じく市場経済移行中の途上国モンゴル、そして北朝鮮がある。
ここに巨大経済国日本が加わる形になり、ありとあらゆるタイプの国が集まっているといってよい。
欧州の体験からすれば、冷戦時代には環境外交は本質的に軍事交渉の副産物であった。
冷戦後いまはこれを逆想を示すことである。
日本がアジアの環境問題に寄与するということは、国内に擁している資金・技術・人材を環境保全の目的で近隣諸国に環流させることである。
その場合、アジアでただ一国、日本が巨大先進経済国であること自体が、障壁となるおそれがあることを心に留めておく必要がある。
環境保全の対外支援は、われわれの感覚からすれば当然のことではあっても、相手国からみればその必要性や緊急性が高くない場合がいくらでも出てくる。
ここで必要なことは、日本がアジアの環境保全に積極的に関与することの論理と目的とを明確にしておくことである。
確かにわが国には「ODA大綱」という対外援助の原則があるにはある。
しかし政策大綱は原理原則を示すためのものであって、これだけでは体系的な戦略次元の光景まではみえてこない。
日本がアジア諸国に対して環境支援を行うということは、価値観の異なった相手に環境保全の目的で物財を渡すか貸すことである。
それは、いくばくかは相手国社会の価値観に変更を求め、環境対策を繰り上げて実施してもらうことである。
そのような価値観の変更を相手側に求めるのである以上、こちら側がそれに見合うだけの明快な論理と意図を示しておく必要がある。
これは、個々の環境支援プロジェクトが不適当だといっているのではない。
欠落しているのは、個々のプロジェクトを脈絡づけ、日本の対外関与のあり方を将来に向けて想像を可能にさせるような戦略的体系地球環境問題への支援は、南北アメリカはアメリカ合衆国、アフリカとウラル山脈の西側はEUが支援するもの、という暗黙の、しかし動かし難い担当配分の了解が環境問題の分野ではできつつあり、いまは中国の環境問題をどうするかが世界的な関心事になりつつある。
日本の国内には、中国から酸性雨の原因物質が飛んできているから、中国の大気汚染対策にわが国の資金と技術を提供すべきだという議論がよくある。
しかし中国政府が、国内に深刻な大気汚染問題を抱えていることを認めることと、酸性雨対策で日本から大々的に資金を受け入れさせ、広域の環境保全を目的とした国際的協力活動こそ地域の安定の基盤であるという主張に立ち、その実現を目指すことを日本のアジア関与のあり方と定めることも一方法である。
最近では、広域の環境保全を拡大された安全保障概念の中に繰り入れる立場は、環境安全保障論として珍しい主張ではなくなっている。
このような視点から、日本がアジア地域の環境問題に寄与することは自然な選択であり、国際的な義務とすらいってもよいと思う。
こととは別問題である。
酸性雨対策・温暖化対策同時投資の原則をかつて北欧諸国が西ドイツやイギリスに向かって酸性雨被害の証拠を突きつけても、それだけでは何も動かなかった。
その体験からすると、関係国に有無をいわせないだけの科学データの集積とこれを共有することが不可欠である。
日本と中国との関係を欧州の歴史に当てはめると、現在はEMEPがまだなかった1970年代初めの状態に相当する。
東アジア全域をカバーする科学インフラを整備できるのは実質上日本だけであるから、日本としてはまず東アジア一帯に同一規格の観測網を設置させてもらい、共同研究態勢を築くことを考えなければならない。
これによって中国から原因物質が飛来し被害を及ぼしていることが確実になれば、その時点で初めて外交交渉にのることになるのだろう。
アジア地域は経済成長が著しく、これに伴って大気汚染が進行し、また二酸化炭素の排出も急増している。
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